僕が田舎に住んだ理由

北海道喜茂別町に移住したデザイナーが感じたこと

少しだけ見えた、みんなの想い

委嘱式を行った次の日。引越し自体は13日なので、昨日が今回の滞在の実質最終日。 いろいろ無理を聞いていただいて、一旦東京に帰り、引越し準備してからまた改めて家族で北海道に行きます。

今回の滞在でたくさんの方を紹介していただき、勝手に数名の方と会いました。小さな町なので、みんな顔見知り。夜、ひとりでフラッと入ったバーにたまたま担当課の方と商工会の事務局長がいたのでご一緒させてもらったり、隣で飲んでいた地元の建設会社の方に引き止められ、12時近くまで一緒にカラオケしたりとなかなか楽しい時間を過ごすことができました。

そんななか改めて思ったのは、みなさん親切だということ。「ひとりになるんじゃないよ。困ったら相談しな」といろいろな方から言っていただき、本当にありがたいです。そうやって気にかけてくださるのは土地柄もあると思いますが、なにより地域おこし協力隊の先輩たちが一生懸命やってたから、みなさん「次の協力隊員も面倒見てあげないと」という気持ちなんだと思います。

もちろんいろいろな方がいて、それぞれの立場で感じていることは違うのは当たり前ですが、みなさん「喜茂別を良くしたい」という気持ちが強いなぁと感じます。

ようやく決まった協力隊に町は期待をしている

喜茂別町としては、1年半募集して決まらなかった協力隊にようやく採用できたんだから何とかして成功してもらいたいという想いが強く、僕に対する期待値も上がっているのも事実。「僕はこうしたい」という想いをすごく尊重してくれて、それと町としてお願いしたいことを今後しっかりとすり合わせたうえで本格稼働していくことになります。

3日間滞在し、見てきたなかで僕なりに見えた課題もたくさんありました。「事業は作れるけど推進できていない」という町長の言葉は、正直その通りだと感じたのも事実です。いわゆるハコモノはたくさんあるし、どの施設も綺麗で活用方法はいろいろありそうですが、似たような施設がいくつもありました。きっといろいろあったニーズに答えようとした結果なんでしょうし、あとはそれらをどう活かしていくのかをしっかりと考えていきたいなぁと思います。

今回任命された背景には、僕に明確な目指しているものがあることを評価していただいたようですし、だからこそ「デザインのプロとして、どう解決してくれるのか?」ということを期待しているのはみなさんとの話しているなかで非常に感じました。

期待に応えらえるよう、ゆっくり頑張りたいと思います。

拠点を移したことを実感した

喜茂別生活初日。昨日は「委嘱式」でした。今回の移住、実は「地域おこし協力隊」というプログラムを活用しています。 地域おこし協力隊とは、

人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度

と移住交流推進のサイトには書かれているように、定住と起業を目的に与えられたミッションを達成するために頑張りましょう!自治体はそれのサポートをします!というようなプログラムです。 www.iju-join.jp

今回の喜茂別町の募集要項にも

地域力の維持と強化を図るため、地域外からの人材や新たな発想、能力を積極的に誘致しながら、その定住と定着を目指し、地域を元気にし、地域の人たちと一緒になって地域活動に携わりながら、将来「喜茂別町」で自ら起業や就業を目指す。

と書かれていました。

喜茂別町は地域おこし協力隊の受け入れを積極的におこなっていて、これまで13名の方が採用され、その8割が任期終了後も定住されているようです。さまざまなカタチで町に関わり続けているそうなので、お会いできるのがいまから楽しみです。ちなみに聞いている僕のミッションは「町のPRと商業活性化」。豊かな自然や特産品をアピールし、町を訪れる方を増やしていくことを求められています。

しかし、町長や商工会の会長・事務局長、町役場の担当課のみなさんとお話しするなかで分かったのは、それを具体的にどうやって実現させるのかはまだまだ見えていないということ。そこをひとつひとつ試行錯誤しながら丁寧に解決していくことになりそうです。町長の「我々は事業を作ることはできるけど、それを魅力的にデザインし推進していくことができていない」という言葉が非常に印象的でした。

詳しいことを今日は聞けなかったのですが、大きな構想を考えているようで、僕にとっても良いチャレンジになるんだろうなと思っています。

朝起きて、改めて拠点を移したことを実感した

いまは、何もない新居でをボーっと考えごとをしています。

田舎の時間はゆっくりで静かです。そして、町のみなさんはとても親切。 照明すらない部屋を不憫に思った町役場の方がわざわざフロアライトを貸してくれました。そして「夜ご飯食べられるところ教えてください」と言えば、「ひとりじゃ寂しいだろうから、みんなでいこう」と声をかけてくれました。

歩いても20分程度で市街地を1周できるくらいコンパクトな町にある空気は、東京のそれとはちょっと違います。 東京の“時間に追われて仕事をする”感じも大好きですが、喜茂別での“のんびりした空気”もこれからの人生で大切になってくるんじゃないかと思っています。理想的にはどちらも感じられることなので、うまく都会と田舎を行き来できれば良いですね。

北海道に移住します。

ずっとやろうやろうと思いながら始められなかったこと。正確にいうとこっそり始めて、こっそり辞めたこと。それはブログを書くこと。いつも長続きしないことでしたが、今回はちょっと重い腰をあげて頑張ってみようかと思います。

というのも、ちゃんと日々感じていることを書き留めておきたい理由があるんです。それは、大学進学をきっかけに住み始めた東京を離れ、13年ぶりに拠点を北海道に移すことにしたから。大きく生活スタイルを変えるタイミングで、その経験をちゃんとまとめたいなぁと思ったのがきっかけでした。

ちなみに、移住先は喜茂別町という札幌の隣にある人口2000人程度の小さな町で、蝦夷富士と呼ばれている羊蹄山が綺麗に見える自然が豊かなところです。 www.town.kimobetsu.hokkaido.jp

今回は初エントリーなので、これまでの経験とこれからのことを少しお話しできればと思います。

これまでのこと

上京して13年。すごく良い経験ができたし、たくさん出会いがありました。振り返ると、デザインの勉強をしていないにも関わらずグラフィックデザイナーとしてスタートさせた僕の社会人生活は、「できないことをやる」ことの連続だったなぁと思います。

社会人生活をスタートさせたデザイン事務所は、デザインの勉強をしていないにも関わらず快く僕を受け入れてくれ、デザインの楽しさを教えてくれました。入社してすぐに恩師でもある社長が亡くなるという“アクシデント”も、いま考えると良いことだったなと思います。そのおかげで自立しなきゃと思えたし、それがなかったら今はないかなと思います。恩師から言われた「お前さ、この文字あと2mm左にずらしてみろよ。もっと良くなるから」と言って示してくれたデザインと、初めて大きめな仕事でデザインが採用されたときに「これお前やったの? いいね、やっぱり」と言われた景色は忘れられないし、未だにその恩師にもっと認めてもらいたいという想いでデザインしているんじゃないかなと思うこともあります。

その後、入社したスタートアップも、事業内容もよくわからないまま「代表と友達」というだけで創業半年くらいのときに入社しました。彼がバンドマンのときから「一緒に仕事したいね」という約束を実現させた感じ。それから5年弱、たくさんのことを経験させてもらいました。もともとのキャリアだったグラフィックデザインの仕事はもちろん、初めて経験したWEBデザインやUI/UX設計、アジャイル開発におけるプロダクトオーナーやスクラムマスター、メディア運営から広報・マーケティング…と、会社の状況に合わせて適任者がいない役割を埋め続けてきたことは僕にとってとても良い経験でした。半年に1度は役割が変わっていたので、なかには僕がデザイナーだということも知らない方もいるかもしれません。

今回の決断はそれらでの経験や出会いがあったからこそできたことだし、いま自分の強みとなっている「組織内の“足りない”を埋める」という働き方はここでしかできなかったことです。

なぜ移住するのか…

そんな僕が喜茂別町で何をするのか…実はずっと「いつか生まれ育った北海道を盛り上げるために自分の経験を還元したい」と思い続けていました。今回はそのチャレンジの第一歩だと思ってます。そして、自分自身のチャレンジというのはもちろん、昨年生まれた息子と向き合ってきて「自然のなかで四季を感じながらのびのび育ってほしい」と思うようにもなったのも理由のひとつです。

もともと妻とは「羊蹄山を毎日見ながら暮らせたら幸せだね」と話していたこともあり、喜茂別町の地域おこし協力隊に応募することにしました。

これからは喜茂別町を拠点に、いわゆる「地方創生」ということを軸に仕事をしていくつもりです。そのなかで、喜茂別はもちろん、北海道の魅力をみなさんに伝えながら、ドラえもんに出てくる“空き地”のような「誰でも気軽の集まれる場所」を作りたいなと思っています。

そして、そのなかで経験したことや感じたことをここで書き留めておこうとと思っています。